こんにちは。これからお話しするのは、よく知られた話なのでご存知の方も多いと思いますが、先日もラジオの番組で取り上げられていたのでお話します。

「肥った豚より痩せたソクラテスであれ」という言葉を知っていますか。耳にしたことのある方多いんじゃないでしょうか。この言葉は半世紀以上前に東京大学の卒業式で、当時の総長だった大河内一男さんが式辞で言った言葉ということになっています。しかしこれは実は誤りだそうです。

まずこの言葉はJ・Sミルというイギリスの哲学者が著作の中で述べた言葉で、大河内さんの式辞の原稿にも引用であることが明記してあるとのことでした。次にミルはこんなことは言ってはおらず正確には「満足したブタであるより、不満足な人間であるほうがよい。満足した馬鹿であるより、不満足なソクラテスであるほうがよい」と自著の中にあるそうです。少しニュアンスが変わりますね。大河内さんが引用の際、意図的に改変したのか思い違いをしただけなのかは、定かではないとのことです。最後になんと大河内さんも言っていないということ。確かに式辞の原稿にはあるのですが、実際に卒業式ではこの部分を飛ばして話しをしました。マスコミには事前に原稿が渡っていたので、実際に式辞を聞いていない記者が広めてしまったようです。

この出来事から51年後の2015年の東京大学の卒業式で、教養学部の学部長、石井洋二郎さんはこう語りました。

 

つまり、「大河内総長は『肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ』と

言った」という有名な語り伝えには、三つの間違いが含まれているわけ

です。まず「大河内総長は」という主語が違うし、目的語になっている

「肥った豚よりも痩せたソクラテスになれ」というフレーズはミルのま

ったく不正確な引用だし、おまけに「言った」という動詞まで事実では

なかった。というわけで、早い話がこの命題は初めから終りまで全部間

違いであって、ただの一箇所も事実を含んでいないのですね。にもかか

わらず、この幻のエピソードはまことしやかに語り継がれ、今日では一

種の伝説にさえなっているという次第です。

 

どうでしょうか。こういうこと結構あるんでしょうね。特にネットの世界では。眉に唾したぐらいでは簡単に騙されてしまいそうです。